ゆき

2008年01月23日

高松では、珍しくなった雪が降った日のこと。
前夜にもみぞれ交じりの雨が、雪を期待させていたが、朝はいつもの朝の如く、暗く、雪の痕跡は残滓も残っていなかった。
渋滞を予想して早めに出た通勤の途中、予想通り渋滞でスローダウンしたとき、ふと気が付くと山肌に白い衣を被った五色台の姿。
やっと冬らしいと思う。この天気はしばらく続くのかも知れない。

寒くなると思い出す人がいる。
僕が小学校の3年の時、転校した先の近所にいた同年代の3人兄弟の末っ子の「ゆきお」。
彼は、学校でも人気者で、友人が多かった。
転校した先で初めてともだちとなった彼は、学校への行くときは、いつも一緒だった。
2年もすると、彼は新築した隣の家に引っ越ししてきた。
こうなると、腐れ縁・・・だった。
ただ、いつしか彼にはいつも暗い影が見えてきた。
その悩みを打ち明けられたのは、高校卒業してから。
彼の悩みは、実の両親ではない、だから自分はやりたいことをやらせてもらえない、だから自由がないということ。

深刻な悩みは、僕が知らない間に、彼を何回も家出に駆り立てていたらしい。
また、のほほーんと育っているあほあほ脳天気な僕を見て、うらやましいと思っていたようだ。そして、いつしかこんなやつに悩みを言っても仕方がないと思われていたのかも知れない。

僕が大学を卒業してしばらくすると、彼はまた家を飛び出し、工場関係の仕事をしていたようで、時折、自宅には帰らずに僕の実家に立ち寄っていた。

工場が休みになるのは、冬か夏なのだそうだ。
寒い時期に戻ってくることが多かったように思う。

そして久しぶりに会ったとき、こう人は変わるんだと思ってしまった。
彼のやせた頬、生気が感じられない。
おそらく、孤独という環境があったのか、言動もおかしくなっていた。
その後、年1回か2回、こちらに帰ってきたとき、連絡を取って合っていたが、僕の母親の怪我を機に、マンションを移ってしまい、2年半ほど音信不通だ。

寒い時期、雪が降ると彼を思い出す。そして、寒空に元気に生きていろよと祈るのだ



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この記事へのコメント
なんだか寂しいですね〜気軽に読みはじめたけど…どこかで元気に働いていてくれたらいいですね、きっとあなたが1番心許せる友達だったと思います、
Posted by 下町マダムリリアン at 2008年01月24日 11:29
子供の時の悩みは、重大だからなあ。
どこかで、切替えできたら良かったんだけど、ずうっと引きずってきたんでしょうね。
元気になってたら、いいですね。
Posted by わらくら at 2008年01月25日 19:54
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